私の心の1番綺麗なところに
第29章 曇り心
10分ほどの遅刻はよくあったから
はじめは気にならなかった。
だけど…
20分こない。
いつも、これくらい遅れるときは
連絡があったのに。
さすがに心配になってきた。
「今どこ?」
と、メールを送る。
10分待っても、返事がない。
不安で、心配で、電話をかけた。
意外にも、彼は電話に出た。
「はい。」
「ねぇ、今どこにいるの?
何かあったの?
連絡もないし、来ないから心配で。」
「仕事してる。」
「仕事⁈今日休みじゃないの?」
「休みだけど、急用でちょっとだけ出てる。」
「じゃあ、今日は、もう、会えない、の…?」
「無理。」
無理。
その一言は、私の頭の中を
真っ白にさせるのに
十分だった。
お前なんか無理。
会うなんて無理。
この声の不機嫌さ、
また私がなにかしてしまったのか…
わからない…わからない…