私の心の1番綺麗なところに
第29章 曇り心
まだ暑い9月の日曜日のこと。
些細なことでまたケンカをした。
何がきっかけだったかは、覚えていない。
私の部屋に一緒にいる時だった。
私は珍しくその日、
自分の考えを伝えた。
届いてほしかったのに、
彼はあっさりと
「俺たち合わないから別れよ。」
だった。
あとはいつものパターンだ。
私が泣いて、すがりついて。
そうして彼は
「明日仕事だから。」
と言って寝てしまった。
ひたすら虚しかった。
朝、彼が目覚めたから
「別れたくない…」と言うと
「少し考えさせて。」という
返事だった。
「無理」ではなく、
「考えさせて」
ということは、何日か後に
きっと連絡がきて、
仲直りできるだろう。
スーっと、心に安堵の気持ちが
水のように染み渡ってくる。
「待ってるね。」
きっと大丈夫。
彼は戻ってくる。
私の心は大雨から、やがて小雨になり
雲間から太陽の光がこぼれてくる
ときのような気持ちになった。