テキストサイズ

私の心の1番綺麗なところに

第32章 恋と呼べそうで呼べないもの



春になり、私は大学を卒業し、
社会人になった。



地元には戻らず、

隆太の地元である県の塾の事務として
就職した。



その県に就職したのは偶然で、
決して隆太を想ったわけではない。




たしかに隆太は、
ここで育って
大学の前半まではここから通って
ここで生きていた。











でも、今は、もういない。






もし、隆太がまだ
ここにいたのなら、

逢える可能性は東京よりは
あったかもしれない。














だけど、隆太はいないから。



逢えるなんて、期待しちゃいけないんだ。


















それに、私が働くところは、
県の中心地近くだけど、


隆太が住んでいたところは
中心地からけっこう遠い。



ここに来て市町村を知るようになって、
隆太が住んでいた市は距離があることを
知った。



たしかにそこからだと
大学への通学が大変だったのも頷ける。


むしろよく2年間通えたなぁと思った。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ