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あいつとわたし

第1章 あいつとわたし

 何日かすると"いじめ"が始まった。その相手は"あいつ"だった。

「やっぱりね」

 という声が聞こえる。

 元、西北(セイホク)小学校だった人に聞いていくと

「やっぱり嫌い」

 と言う返事が返ってくる。

 その言葉が重くのしかかるように痛く感じる気持ち……。まるで自分に言われたような気分になる。

 きっと"あいつ"も一緒だったと思う。

 消しゴムのカスを"あいつ"に投げている喜魅夫(キミオ)

 前の奴を殴れと翔騎(ショウキ)にポーズする喜魅夫。

 少しみんなが怖く見える。

 "あいつ"がキレて泣く…。みんながそれを見てクスクス笑う。

 私も"あいつ"を見て無理に笑う。自分がやるせない。

 その後、"あいつ"が朝木先生に必ずちくる。

 喜魅夫は、いつも怒られる。見ているのが悲しくなる。喧嘩が1日一回、起こるバカバカしさ……。

 "あいつ"が何でも先生に聞くから翔騎が

「お前、友達に聞け」

 としつこく言う。

 "あいつ"は、嫌そうに

「わかりました」

 と言う。

 でも…約束を破ってしまった。翔騎は、

「お前、そんなんできんかったら友達、できんぞ!」

 と言っていた。

 "あいつ"は

「もうほっといて下さい」

 と言っていた。

 その困っているような顔を見ているの が凄くイラつく。私も"あいつ"を見捨てた。

「友達を信用してないんやろ?」

 ときつく言う私。

 泣きの入った

「信用してるよ」

 という返事。

 妙にムカついている自分がいる。

 朝木先生がこっちに来る。でもいざとなったらスラスラ出てくるうそ!

 自分が情けない。

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