今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第2章 バレンタインの事情♡その①
え…
ちょ……
待っ…!!
「────!!」
いつ誰がそんなこと言ったの!?
いつ誰がそんなこと言ったの!?
下から伸びた大きな手がアタシの背中を捕まえて、引き寄せられたと思ったら世界が大きく反転する。
久しぶりに重さから解放されたカラダは背中からソファーに沈んで、アタシを間近で見下ろす雅くんの向こう側には高い天井が見えた。
……なんでこうなった!?
なん…!!
「ちぃ…」
あ……
塞がれた唇に思考が停止。
ツンデレの"ツン"の文字はどこへいったやら…
寝起きのせいなのも相まって、いつになく"デレ"しかない雅くんの甘いキスが降り注ぐ。
「喉乾いたんだけど…」
「…ッ……ん」
「お前…オレに食われてないで、早くアイス…食わせろよな」
「ぁ…ふ……っ」
すみません、言ってることとやってることとメチャクチャですけど…
もちろん、そんなことなど一言も言わせてもらえず、乱れはじめる吐息を絡め取られながら柔らかな石鹸の香りに包まれる。
平日の今日、ひとりだけ仕事が完全に一日オフだった雅くんと一日を共にした。
朝、お仕事組の三人を見送ったあと、少しのんびりしてからトライデントのエンブレムが光る彼の愛車で外に出た。
雅くんは横浜まで飛ばしてくれたから中華でランチをして、ぶらぶらショッピング。
それから、若干文句を言いつつも聖くんの念願成就のためにシチューの材料の買い物にも付き合ってくれたのだ。