今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第2章 バレンタインの事情♡その①
おいおいおい、それ脱いだらどうなるのかわかってての行動なのか!?
アタシがどうなるのか…
「っ……!!」
雅くんが脱ぎ捨てたモヘアのニットが無造作に床に落ちる。
天井の明かりと、暖炉の炎が作り出す筋肉の陰影…
ダメだ、見るなアタシ!!
見ちゃダメっ!!
「ちぃ…」
「ッ……」
溶けるっ!!
アイスもだけど、アタシが溶ける!!
危機を感じて目を閉じる…
すると…
「みーやびっ♪」
「………!?」
どこからともなくそんな声が聞こえて、開いた眼に映るのはアタシから引き剥がされていく雅くんの姿で…
あ…
悪魔だ…
そしてソファーから無惨にも転落した雅くんに馬乗りになるのは、天使の顔で無邪気な笑顔を浮かべる悪魔。
「ほーら、早く食べないと溶けちゃうよー」
「聖…、テメっ」
「ストロベリーチーズケーキだっけ!? はい、あーん…」
あーん、って聖くんいったいそれを…
聖くんの手のなかには、箱のなかから鷲づかみにされた雅くん指定のフレーバーのアイスクリームの玉がある。
知ってる人も多いと思うが、このショップのアイスはレギュラーサイズといえどけして小さくない大きさだ。
まさか、これ…
雅くんの口のなかに一瞬で消えたりしないよね!?
「ほら雅、あーん…って言ってるの」
「ッ…!!」
しかし、尚も雅くんは口を開けるように施されているわけで…
そして、
聖くんの瞳が冷たく光った刹那…
リビングに雅くんの叫び声が響き渡った。