今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第2章 バレンタインの事情♡その①
夜空に浮かぶ月も凍えるような、とある日の夜…
今年の冬は暖冬だとはいえ、やはり冬は冬だ。
夜になれば外の空気はきりりと肌をさすようにはりつめている。
"夏は涼しく、冬は暖かく♡"
矛盾も甚だしいところだが、なんて都合も響きもいい言葉なんだろう。
邸はモダンな内装なのに断熱効果抜群とか、さすが楓♡すごーい♪
…と、設計者の楓を褒め称えたいところだが、やっぱり冬は冬である。
なんだかんだ言っても結局のところ寒いのだ。
室内は暖房全開、リビングの暖炉には火が灯されていた。
冬は足が早い気がする。
クリスマスが終わったかと思えばあっという間にお正月がやってきて、気がつけばカレンダーはもう2月だ。
最近、寒い日が続いている。
しかしどんなに寒い日であっても、アタシの寝起きだけは快適なことに変わりはなかった。
誰かの腕のなかで眠りに落ちて、誰かの腕のなかで目覚める…
なかなか寝かせてもらえない時もあるけれど、お陰様でどんなに寒い日であっても寒さで目が覚めるなんてことはなかった。
今や当たり前になってしまったこの日常。
眩しい彼らと過ごす日々は賑やかで、華やかで、いろいろと刺激的すぎて心臓に負担が大きい。
そんな相変わらずの日々。
相変わらずの…
うん、相変わらずのはずなんだけど、最近なにかがおかしい気がする。
いや、気がする…ではなく、
明らかに、なにかがおかしかった。