今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第4章 バレンタインの事情♡その③
リビングの窓から差し込む二月の朝の日差しとは思えない明るい横日。
おいおい、そんなにオレを照らすんじゃねぇよ…
眩しいっつーの…
オレはリビングのソファーで、濃いめに淹れたコーヒーを片手に広げた新聞の隙間から窓の外を睨む。
するとそこには、オレの内心を裏返したような透き通った淡い水色の空が広がっていた。
「………」
あー…
だりぃ…
徹夜明けのカラダで夜まで仕事して、帰ってからはすぐ寝たっつーのに、この様だ。
久々にしっかりとった睡眠時間のわりには、全然休めた気がしねぇ…
寝たのにちゃんと寝れてねぇんだ。
理由は明確。
ひとりで眠るベッドが広かったからだ。
はぁ…
ひとりで寝れねぇとか、オレは小学生のガキかっつーの。
口からでたため息を見送りながら、隣で恐ろしい量のミルクとメープルシロップをカップに注ぐ聖を横目に自分のカップに口をつける、
が…
「ッ…不味…」
オレはいつも通りに淹れたはずのコーヒーの味に思わず顔を歪めた。
深めに焙煎した苦味の強い豆も、淹れ方もいつも通りで変わらないはずなのだが…
「なぁ、味おかしくねぇか」
「んー…そうかな。いつも通りだけど…渚くん疲れてるんじゃん!?ならば、これらの大量投入推奨しまーす♪」
元は同じ物とは思えない、さぞ甘かろうドロッドロの殺人ドリンクを体内に流し込みながら、オレにミルクとメープルシロップの大量摂取を勧めてくる聖。