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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚





台風が過ぎるたび、次第に秋の色を深めていく高い空を隠す銀色の雨しずく。

その日も窓の外は雨だった…



秋霖(シュウリン)とは、秋に降る長雨のことをいう。最近の天気を思い返せば、その言葉がドンピシャリだ。

正直、雨は嫌いではないけれど、こうも続くとお日様の匂いが久々に恋しい。

それに、連日の雨による太陽光不足は心体に様々な影響を与えるとも言われていて、体内時計が狂うことでホルモンバランスに影響をきたし、睡眠の質が落ちるとか落ちないとか。

…って、まぁ…

毎晩誰かしらにベッドに引きずり込まれて、なかなか寝かせてもらえないアタシにとっては、あまり関係のないような気が…

していたのはついさっきまでのコトなのだが。


─アタマイタイ…


晴れていれば明けの明星が東の空に見えただろう。

そんな明け方、降りしきる雨音と頭を襲う不快な痛みにアタシは眠りの底から呼び戻された。


そっと寝がえりをうって瞼を押し上げれば、すぐ側で上質なガウンに身を包んだ黒髪の美男子が長い睫毛を伏せている。


あぁ、そっか…

ここ渚くんの部屋だっけ。


相変わらずだけれど、その寝顔は近くで見れば見るほどに美しい。それがどのくらいかと言えば、多少は見慣れたと言えど思わず溜め息が溢れてしまうほど、である。

少しはだけた胸元からは、彼特有のほろ苦いタバコの混じった深くて甘い香りがする。





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