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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚






明智さんに続いて社長室に足を踏み入れると、見覚えのあるスーツ姿が紫煙を燻らしながら窓辺で振り向いた。

気怠そうに目を細め、最後に一服深く吸い込んだ煙草をデスクの灰皿に押し付けるとこちらへやってくる彼。

それはもちろん、日本有数の大企業・紫堂グループを率いる男、そしてこの社長室の主である彼…渚くんである。


「…ボーっとしてないで座れば?」

「あ…うん!?」


あ、あぁ…アタシってばいつの間に…

正直なところを述べれば、無意識に渚くんの姿に見とれてしまっていたに違いない。

なにせ、今朝も同じ姿を見送っているはずなのに、今日の彼はなんだか一段と素敵に見えるからだ。

基本的に黒系のストライプのスーツを着ていることが多い渚くん。しかし今日身に着けているのは秋冬のトレンド、グレーのカラーを使用したスリーピースだった。

そこにうっすら入ったウィンドウペンチェックが彼をより紳士的に魅せていて、それにプラスされているのはモノトーンでまとまったクレリックカラーのストライプシャツにドット柄のネクタイ。

はぁ…

全てに柄が入っているのにも関わらずきちんとまとまっているという上級コーディネートを完璧に着こなした彼の姿は、言うまでもなく何度見てもうっとりしてしまう。


「悪いな、千隼。面倒をかけた」

「う、うん」


渚くんはアタシを軽くソファーへ促すと、傍らで控えていた明智専務から書類が入った封筒を取り上げ、パラパラと慣れた手つきで中身を改めていく。





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