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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚








渚くんの辛辣な物言いにもめげず、明智さんから常に返されるのはもはやツッコミレベルと言える見事に隙のない的確な返事だった。


さ、さすがだ。きっと普段からそうやって鍛えられているんだね…

って………お、おい、魔王よ。

わかったぞ。そうやって苛めるから明智さんがひねくれちゃうんだよ。

ひねくれて、鬼の明智に…

そしてそのとばっちりがもれなくアタシに…ってなんて負のスパイラルなんだ。そのせいで、邸じゅうを走り回る羽目になったんですけど。


「っつ…クシュン…‼」


う…お…

複雑な気持ちになりながらふたりのやり取りを眺めていると、ゾゾゾと駆け上がる悪寒に背中をくすぐられ、突発的にくしゃみが飛び出した。一気に注目の的になるアタシ。

だけど…


「…どうぞ、続けてください」


ニコッ♡

…流してね、流してね(汗)

しかしそうもいかず、


「なんだ?寒いのか?」

「う、ううん、ちょっと。」


本当は、寒いというか熱いというか…

どっちつかずの変な感覚に思わず身震いしてしまったアタシに、あぁ、そういやデリケートだったな。と冗談をめかしつつ空調を上げてくれる渚くん。

…が、やはり彼の持つなんでもお見通しの皇帝の心眼は誤魔化せないのか、リモコンを操作した彼の手は大人しくもとの位置に戻ることはなく、たどり着いたのはアタシの頬で…。


「なんでそんな泣きそうな顔してんだよ」


お…わ…ッ‼




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