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Dream Kiss~それぞれのバレンタイン~

第9章 言えない想い~奏華編~

 放課後、新羅先生のいる音楽室へ。

 いつものように聞こえてくる曲。

「新羅先生」

「お~花宮か」

「また……一緒に弾こ……」

 あたしと新羅先生は同じ音を奏でる。

 最近は作詞作曲、琉依さんの君の刻印を、ピアノとベースにリメイクしたやつをよく弾く。


 切なげに重なる音と歌詞が私の心を埋め尽くす。

 叶わない恋なんだ。そう思い知らされるかのように。

「新羅先生、チョ……」

「ん?何だ?」

「やっぱり……何でもないです。今からバンドの練習なので……また明日」

「あぁ。また明日な」

 やっぱり言ってはいけない。困らせるだけ。

 新羅先生とあたしは、教師と生徒。それ以下になれても、それ以上にはなれない。

 私は走ってスタジオに向かった。

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