
僕らはずっと…
第8章 ありがとう
春の方を見る。
春が目を覚ましていた。
ぼんやりとこっちを見ている。
「家だよ。春、車で寝ちゃってたから、部屋に連れてきたんだ。」
俺は春の方に行きながら今の状況を説明する。
「あ…私……電車で、」
春の顔がゆがんだ。思い出したのだろうか。春の目から涙がこぼれる。
そんな春を俺はそっと抱きしめた。
「もう大丈夫だから。」
春が俺の肩に手を置いて、顔をうずめた。
そんな春の背中を俺は優しくさする。
「…うっ…。うっ。……こわ、かった。」
「うん。もう、大丈夫だよ。
怖い思いさせてごめん。」
