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今日も明日も

第26章 100%のきもち


「大…丈夫、だか、ら…」

声が震えてるから、説得力なんかないけど

何でだか、こうしなきゃいけないような気がしてるんだ


「にの…っ」

相葉さんが、抱き締めてくる

俺を呼ぶ、その声だって…震えてるよ?


ゆっくりと顔を上げた相葉さんが

俺をじっと見つめている

鼻がさっきから触れたり離れたりしてて、ちょっと動けば唇だって触れる近さで…


「記憶がなくても…俺を受け入れてくれるの?」

「…そうだよ」

「俺を分からないのに?」

相葉さん、自分で言っておいて、目が潤んできてる

「…それは、…ごめん」



「にのの、気持ちが見えないよ…」



顔を離して、またきつく抱き締める

俺の首の後ろに回った相葉さんの表情は見えないけど

…時々乱れる呼吸と、吐息で、泣いてるのが伝わってきた


ごめんね、相葉さん

俺だってもどかしいけど、自分を忘れられるってきっと忘れるよりツラいんだよね


…目の前にいるのに、自分の存在がリセットされるなんてさ



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