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今日も明日も

第49章 春が近いから


なんなの…

怒りたいのは俺の方だろ

なのに何で相葉さんがあんな冷たい声出すんだよ
あんな、八つ当たりみたいにドアを閉めてくんだよ


少しだけ滲む程度の涙が、その量を増した
目尻から、ポタリと落ちてシャツの裾を小さく濡らす

その染みが大きくなる前に、グイッと涙を拭ってから
取れてしまったボタンを探した

白いボタンは同じ色のシーツに紛れていたけど
“ここだよ“ と言っているかのようにすぐに見つかって


まるで “早くそれを拾って帰れ“ とシーツにまで言われてるようだと、笑いたくなった




ー…帰ろう

ここにいても、相葉さんは変わらない

酔った勢いでも言った俺がバカだったんだ

…相葉さんも、俺の事を好きなんだと思ってた俺がバカだったんだ


何回もここに泊まったのに
もう、それもおしまいかなぁ

数少ない、俺を分かってくれてる人を
俺は自分から遠ざけてしまったんだ

もっと慎重になれば良かった

ー…今さら遅いけどね



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