今日も明日も
第52章 Bitter Sweet
誰もいない、広い家でひとりで過ごすより
俺と一緒にいる事を望んだかずが、俺のマンションに転がりこんだ
と、言うか俺から申し出た
かずはひとりだと食事すらまともにしない
学校もさぼりがちだった
だから俺が、保護者の代わりになりたいと言ったんだ
俺と暮らしてから、かずはきちんと学校に通っているし、成績も少しだけど上がった
食事もきちんと摂らせるから、体調を壊す事も減った
だからかずの両親にはこの上なく感謝されている
ただひとつ
俺は保護者でもあるけど
かずの恋人である事だけは、誰にも言えない秘密
「たまには甘やかすのも、いいだろ」
「何それ」
明日はせっかく朝からずっと一緒にいられる貴重な休日
そんな日に部活なんて行かせたくない
「かず、いつも頑張ってるからご褒美」
チュッと耳許にキスすると、擽ったそうにかずが首を竦めた
「随分適当な保護者だなぁ」
「今は恋人、だから」
どちらからともなく触れる唇
ダメな大人でいい
俺はかずに溺れていたい
End