今日も明日も
第53章 恋空模様 2nd
必ず最後まで弾くのが自分の中での決め事だったのに
悲しいと感じてしまったら、指が動かなくなってしまった
ラストまで辿り着けずに止まった指
「どうしたの…?」
途中で止めてしまった俺に、相葉くんがやっと傍に来てくれた
その声で、心配してるのが伝わってくる
だけど
色んな気持ちがごちゃまぜになって
「だって…相葉くんが来ないから…」
言うつもりのない一言をつい、言ってしまった
「え、俺?」
少し戸惑ったように相葉くんが俺を見る
「…いつも、すぐ目の前に来るのに…来てくれないから」
…何言ってるんだろう、俺
急に冷静に戻ったら一気に恥ずかしくなった
「二宮くん?」
「なん、でもない!忘れてっ」
顔をみられたくなくて、慌てて下を向いた
見なくても分かる
今の俺、顔どころか全部が真っ赤だ
恥ずかしすぎて床に埋まってしまいたい
「あのさ、二宮くん」
顔の近くで声がする
極至近距離に、彼がいる