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今日も明日も

第60章 見えない鎖 part Ⅲ



軽々と荷物みたいに持ち上げられた俺は、車の後部座席に放り投げられた

柔らかくないシートに体が打ち付けられて、痛みに息を飲む


「動けないからいっか」

近くで声がした

「けど、これはしとかなきゃね。道、覚えられたら面倒だし」

次には何かで目を覆われる

確かに言われた通り、体なんか動かせないし

さっきから口の中には鉄みたいな味が広がっていて気持ち悪い




車が走り出したのは、音と振動で分かった
乱暴な運転に体が揺れて、痛い


何処に連れて行かれるんだろう

何も見えないって、怖い

行き先を知らずに乗り物に乗せられるって、こんなに不安になるんだと初めて知った



何も会話なんてあるはずもなく

この雰囲気に合わない、軽快な曲が車内に流れている

合間に聞こえてくるお気楽なお喋りで、ラジオを流してるのが分かった


でもそんなのはどうでもいい

拾いに来る3日の間で、俺は何とかしても死ななきゃ

死ねる方法を考えなきゃいけないんだ


この人から逃げるには

…楽になるには、これが一番早い



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