先生、好きです。
第4章 先生、
廊下を歩いていると、向こう側から天知君が歩いてきた。
心無しか、少し早歩きで進む天知君に何と声をかけようか考えていたが、結局何も浮かばず、すれ違いざまに「また明日。」とだけ言った。
すると、突然奥の教室のドアが開き、4人女子生徒が出てきた。
そして彼女たちは、俺の横を通り過ぎた天知君に向かって叫んだ。
「香の気持ちも考えろよ!!バーカ!!」
あまりにも大きな声で叫ぶものだから、少し体が強張った。
そんな俺に気付いているのか、いないのか。
彼女らは矢継ぎ早に叫び続ける。
「香に謝れよ、クソホモ!」
「キモいんだよ!!ゲイ!」
「女子が嫌いとか、ホモじゃん!!キモすぎ!!」
「ちょ、ちょっと君たちっ…!」
これは、マズイ。と、止めにかかったが少し遅かったようだ。
女子生徒達は走って逃げてしまった。