僕らの…もうひとつの青春
第1章 1
「岩ちゃ〜ん、うぇ〜ん。」
「よしよし」
頭をなでながら抱き寄せる。嫌なことがあると必ず俺のところに来る及川がたまらなく可愛い。
「ううっ…」
「大丈夫だ。俺がいる。俺が側にいるから。」
「岩ちゃん…」
抱きしめて背中を撫でてやるとこいつは落ち着くんだよな。これがいつものパターン。
「ん……落ち着くわ〜。岩ちゃんってスゴい。」
はいはい、いつものパターンですよ。
及川には俺の気持ちわからないだろうな。
「岩ちゃん、わかってるよ。」
ドキッ。
「何わかってるんだよ。」
「岩ちゃんの愛」
「はぁ?」
「岩ちゃんの愛もらって元気になったから、次はクソ生意気な後輩をコテンパンに叩きのめしてやる。」
「はぁ〜」
まぁこれもいつものパターン。
また返り討ちにあって来い。俺がおまえをささえてやる。おまえが泣くのは俺の前でだけだから。
「好きだよ、及川」
聞こえないような声で呟いた。