逢いたいから~恋とも呼べない恋の話~
第6章 Tomorrow~それぞれの明日~
「でしょう。目前の流行というか流行りに惑わされず、自分たちのやりたいものを追求して、自分たちのスタイルの披露宴をするっていうのは良いですよ。今は昔と違って、個性を大切にする時代ですよね」
平凡な主婦の私と異なり、彼はカメラマンという職業柄、多くの結婚式や披露宴を見ている。それだけに、実感のある言葉だ。
萌は吐息混じりに言った。
「私なんて、ずっと家に閉じこもりきりだから、最近の披露宴なんて、どんなものか知りません。従姉の披露宴がなければ、知らずじまいです」
祐一郎は首を振る。
「僕だって、たまたまカメラマンをしているから、知っているだけですよ。ところで、今日の新婦さんが萌さんの従姉とか?」
「ええ、私の母が新婦の母の姉になるんです。新婦の亜貴ちゃんと私は二歳違いなんだけど、私たち、どちらも一人っ子なので、小さいときから姉妹のように育ちました。言ってみれば、亜貴ちゃんは姉のようなものです」
「そうですか。僕はいちばん感動したのは、ご両親への花束贈呈かな、あと、新婦さんがお父さんに感謝の気持ちを込めて手紙を渡すところね」
祐一郎は少し思い出すような眼で言う。
「落ち着いている反面、あそこしか見せ場らしい見せ場はなかったですものね」
「まあ、そうとも言えますが。萌さんも、なかなか厳しいことを言いますね」
祐一郎は顔を綻ばせた。
「僕自身がそう感じたからかもしれないけど、写真もあのシーンはなかなか良いのが撮れたと思いますよ」
「え、そうなんですか」
萌が思わず叫ぶと、彼は幾度も頷いた。
「見てみますか?」
「良かったら、是非」
祐一郎はテーブルに置いた一眼レフを手にして、しばらくいじっていた。
「ほら、ここを覗いてみて」
むろん、萌が見せて貰えたのは、デジカメ仕様のものだ。ファインダーの中には、彼が撮ったばかりの様々なシーンが収められている。祐一郎は慣れた手つきで次々と色々なシーンを披露する。
黒地に薄紅の桜が舞うしっとりとした振り袖を着た亜貴が映った。振り袖姿の亜貴がピンクのカーネーションの花束を叔母に渡している。叔母は眼を真っ赤にして、殆ど亜貴に縋りつかんばかりだ。
平凡な主婦の私と異なり、彼はカメラマンという職業柄、多くの結婚式や披露宴を見ている。それだけに、実感のある言葉だ。
萌は吐息混じりに言った。
「私なんて、ずっと家に閉じこもりきりだから、最近の披露宴なんて、どんなものか知りません。従姉の披露宴がなければ、知らずじまいです」
祐一郎は首を振る。
「僕だって、たまたまカメラマンをしているから、知っているだけですよ。ところで、今日の新婦さんが萌さんの従姉とか?」
「ええ、私の母が新婦の母の姉になるんです。新婦の亜貴ちゃんと私は二歳違いなんだけど、私たち、どちらも一人っ子なので、小さいときから姉妹のように育ちました。言ってみれば、亜貴ちゃんは姉のようなものです」
「そうですか。僕はいちばん感動したのは、ご両親への花束贈呈かな、あと、新婦さんがお父さんに感謝の気持ちを込めて手紙を渡すところね」
祐一郎は少し思い出すような眼で言う。
「落ち着いている反面、あそこしか見せ場らしい見せ場はなかったですものね」
「まあ、そうとも言えますが。萌さんも、なかなか厳しいことを言いますね」
祐一郎は顔を綻ばせた。
「僕自身がそう感じたからかもしれないけど、写真もあのシーンはなかなか良いのが撮れたと思いますよ」
「え、そうなんですか」
萌が思わず叫ぶと、彼は幾度も頷いた。
「見てみますか?」
「良かったら、是非」
祐一郎はテーブルに置いた一眼レフを手にして、しばらくいじっていた。
「ほら、ここを覗いてみて」
むろん、萌が見せて貰えたのは、デジカメ仕様のものだ。ファインダーの中には、彼が撮ったばかりの様々なシーンが収められている。祐一郎は慣れた手つきで次々と色々なシーンを披露する。
黒地に薄紅の桜が舞うしっとりとした振り袖を着た亜貴が映った。振り袖姿の亜貴がピンクのカーネーションの花束を叔母に渡している。叔母は眼を真っ赤にして、殆ど亜貴に縋りつかんばかりだ。