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捨て犬

第13章 聞かないで

「んん~~っ…エミぃ…」


俺はいつものように
目を閉じたまま
手でエミを探した


「エミ…?」


いつもは
探すなんてほど探さなくても
すぐそばにエミが居るのに

今日は
どんなに手を伸ばしても
エミが

いない

え、なんで?


「んっ・・まぶし・」


眩しさに耐えながら
薄目を開けて
もう一度エミを探したけど


やっぱり、いない



「エミ~~!」


なんだか
急に心配になった俺は
大きな声を出して
エミを呼んだ


すると
台所の方から聞こえる
エミの足音


よかった・・

いるじゃん。



「おはよう、カズマ」


いないと
心配するだろ?


俺が・・・寂しいじゃんか。



「エミ~…頭…痛い…

てか…気持ち悪…

んん~~グルグル…なってる」




「二日…酔い?」


心配する声に
このまま・・甘えたい


「ん……」



「薬…飲む?」



「水…」



「うん、わかった」


エミは
すぐに水を用意してくれた


「はい」


「起きれない…飲ませて」


「え?」


「口うつしして…早く…」


「………」


「ノドカラカラ」


起きられるよ

ホントはね



戸惑うエミの顔が


見たかっただけ。

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