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捨て犬

第15章 目、つむって・・・

そして
週末の朝

いつもなら
エミと一緒に出勤するんだけど
社員旅行の集合時間が
めちゃくちゃ早くて
俺はエミよりも先に
家を出ることになった


そんな顔すんなよ
エミ


玄関先まで
見送りに来てくれた
エミの顔は
もう半分泣きそうで

俺まで
辛い

「やっぱり・・
バイト休むか?」

エミは唇をかんで
首を横にふった


は~~っ・・・
大丈夫かなぁ


「おいで」

その一言で
エミが俺に抱きつき
そして俺は
いってきます
のキスをした

とっくにキスは
終わってんのに
離れない…エミ

仕方ねぇな

俺はポケットの携帯を取り出し
エミの携帯に電話をかけた


「エミ、携帯なってるぞ」

「・・え・・」

「俺からだから出ろよ」

「カズマ?」

「駅まで電話しててやるから
そしたら寂しくないだろ?」


「・・うん」


「あ、留守電になっちゃった
携帯取っておいで」


「うん」


世話がやけるな

それでも
急いで携帯を取りに走る
エミが

愛おしくてたまらない


行きたくね~な


旅行なんて


エミといたいよ・・・ずっと



もう一度電話をかけて
目の前に居るエミに
電話で
「いってきます」と告げると

エミが
「いってらっしゃい」
って少し笑った


よかった

泣かれたら
出かけらんねぇもんな


電話で話をしながら
俺は玄関のドアをしめ

駅まで歩きながら
ずっとエミと繋がっていた


話は
ほとんど俺がして

エミは
うんって
言うだけだったけど(笑)


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