方位磁石の指す方向。
第5章 scene 5
「翔さん、本当にカッコよかったですよ。
和もみてたかな?」
わざとらしく、
俺の方を見て言う潤。
「さぁ?どうだろうね?」
「きっと今頃鼻血出してますよ笑」
「んなアホな。」
「ふふ、でもほんとに
カッコよかったですよ。」
カッコいい、か。
そうなのかな。
いやでも、俺、
すげえ必死になってたから…
カッコいいとは
思わないんだが…
「でもこれで、
満足してちゃダメだからな。
あと1回戦、残ってんだから。
…それまでだからな──…」
「なにがです?」
「…二宮からご褒美、
貰えるんだよ」
俺がそう言うと、
潤はニヤニヤし始めて、
俺の背中をバンバン叩いた。
「っんだよ〜!
ラブラブじゃないっすか!」
「ちょ、うるせぇっ!」
いくら二人だけだからって
外に漏れたら俺、
終わるだろ……。
アホが。
「まぁでも、和も良かったですね
最近寂しがってましたから。
ほら、翔さん、部活で忙しいからって
なかなか相手してもらえないから
寂しいって。
画面越しじゃなくて
ちゃんとした翔さんが
見たいって行ってましたから。」
「…ふぅん。」
そうだったんだ。
寂しい思い、させてたんだな。
……そっか。