
方位磁石の指す方向。
第7章 scene 6
一睡もできなかった。
翔さんのことが気になって。
…もう。バカ。
俺こんなに翔さんのこと好きなのに
翔さんはどうなんだよ。
ばあか。
大嫌いだ。
俺ばっかが想ってたって
意味ないんだから。
思わせぶりな態度ばっかとって、
そんなことなくって。
…ズルいよ。
ドキドキしてるのは、
いつも俺じゃんか。
振り回されてるのも、俺。
…でもそんな翔さんが、
そんな翔さんを、
好きになってしまったんだから──…
「は?休み…?」
「んー、なんか翔ちゃん
風邪引いたとかなんとかで
今日休むってゆってたよー?」
「そっ…か、…ありがと、相葉さん。」
そっか。
…お見舞いとか、行ったほうがいいかな。
行ってもいいよね…。
恋人なんだし。
「う〜…」
「なーに唸ってんの?」
「…時間進むの、遅いっ!」
「なんかあんの?これから」
「…んー、まあちょっとだけね…?」
「ふーん、」
「…なんだよ」
「宿題、いいの?」
「あっ…忘れてた…」
急いで潤くんにプリントを写させてもらう。
…んー、やっぱ潤くんは
字が綺麗だなぁ。
なんて変なところに感心しながら。
