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「菜々子は優しいな」
「それは違います。ずるいんです私」

仲谷の髪に指を絡ませる。

「カノジョのことで頭がいっぱいの
仲谷さんと居てもつまんないから」
「菜々子……おまえ泣いて……」

仲谷は手を伸ばすと
私の頬を伝う涙を拭う。

「へへッ……ここで泣いちゃう辺りも
ずるいですよね」

止まるどころか溢れ出す涙。

「ごめん……菜々子……」
「謝らないでください。私が勝手に泣いて
勝手に好きになったんですから」

それでも私は仲谷の頭を撫で続けていた。