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天気予報の恋人

第8章 chapter 8


「謝んないでよ」

かずが唇をキュッと噛み締める

「謝っちゃったら…無くなっちゃう」

「え…」




「好きって言った言葉が、無くなっちゃうよ」

みるみるうちに、かずの目が潤み出す


それはすぐに雫になって

柔らかいかずの頬を、滑り落ちた



「かず…」

堪らなくなって、思わずかずを抱き締める



今までだって何度も抱き締めたけど

こんなに泣きたくなるくらいに愛しく思った事はなかった


コドモならではの、勢いかもしれないけど

今、かずを想う気持ちは本物で

かずの存在が、俺の全てで


「愛してる」なんて言葉は、まだ似合わないし分かってない年齢だけど

この気持ちが「愛」なんだって

…そう思う



抱き締められたかずの腕が、ゆっくりと動いた

俺がきつく抱き締めてるから、肘から下しか、動かないのに

それだけを何とか動かして


離さない、と言わんばかりに

俺のシャツの両脇を、強く握り締めた



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