天気予報の恋人
第9章 chapter 9
「…とりあえず、ここから離れてくれる?」
そう言いながらもチラチラと駅の方に視線を向けるかず
離れろ、と言うくせにそちらを明らかに気にしてるのは
…駅の中で何かあったって事か
「分かった」
俺がハンドルを握り直したら、かずはホッとしたような溜め息を吐いた
「家に…戻る?」
「…違うとこがいい」
間髪入れずに戻ってきた言葉
でもすぐには、どこが良いか考え付かなくて…暫くの間、宛のないドライブになってしまった
ようやく総合運動公園の無料駐車場が目に入ったから、そこへ車を走らせる
もう夕方も遅いから、広いそこには殆ど車も止まってない
話をするには、絶好の場所だった
端っこに止めれば、人目も少ないから
…泣きたくなればかずも気にせずに泣ける
少なくとも、この時点ではそう思っていた
車を止めて、エンジンも切る
後は焦らずに、かずが話し始めるのを待つだけだ
俺からは、敢えて何も促さないのは
…今までのかずを知ってるから