天気予報の恋人
第5章 chapter 5
今日の外出は、俺の想像以上にかずを疲れさせたらしかった
先に風呂から上がったかずは
ソファーの上で小さく、丸くなっている
その姿は、最初に会った頃から何も変わらなくて
今も可愛くて仕方ない
「かず、お布団行くよ」
まるで猫みたいだ、なんて思いながら
その肩を軽く揺すった
「んー…」
だけど、身動ぎはするものの
起きる気配が全くなくて
「あ、寝ちゃったの?」
どうしようかと戸惑ってた処に
翔ちゃんがキッチンから顔を覗かせた
「うん…やっぱ、疲れてんのかな」
ちら、と眠っているかずを見る
「ベッドに運んでやるか」
翔ちゃんがこっちに来ようとした時
「俺が運ぶから!」
何故か俺はそれを引き留めていた
…つい、大きな声を出してしまい
その声に自分でも驚く
「どうしたの、雅紀」
翔ちゃんも、びっくりしている
「あ、ご…ごめん!」
慌てて謝ったら
翔ちゃんはちょっと意味ありげに笑って
「じゃあ、頼むよ」
手をひらひらさせて、再びキッチンに引っ込んで行った