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エロース …ときめき探求物語

第8章 住めば都? 

『咲良さん、もうこっちには慣れましたか?』

『いや…、どうでっしゃろ?慣れたといえばなれたかもしれへんだすなぁ……』

『あ…の…。 咲良さん、そんなに頑張らんでもいいですよ…。 ウフッ… 今どき【どうでっしゃろ】とか【~だす】とか、言うような大阪人いてへんわよ。』

そう話しかけてきたのは
満の勤務する
丸目フードサービス大阪配送センターで
満の秘書をしている
満戸桃香【ミツド モモカ】だった。

桃香は大卒3年目の25歳
配送センター長の秘書に抜擢されて
満の赴任した6月1日付けで
市内の営業所から
大抜擢されて
憧れの秘書の仕事につけて
張り切っている
爽やかで機転が利く女性だ。

『いや…、ホントは大阪にまだ馴染んでないんだよね。ちょっとホームシック』
と苦笑いしながら
満は桃香に
本音を漏らした。

『やっぱり、そうですよね~。私は逆に大阪生まれの大阪育ちやから、今、明日から東京にいってくれ!!なんか言われたら、びびってしまうと思うもん…。あ!!びびってしまうと思います。あ…緊張でドキドキすると思います。』

なんどか丁寧語に
言い直して
苦笑いする桃香に
すこし満は癒された気がした。

『じゃあ、今日もお疲れさまでした満戸さん。』

満はそう言って
配送センターをあとにした。

―――今ごろ咲はどうしてるのかな?

あの夜…
久しぶりに咲といい感じになれたのに……。
なんで
広子さん事故に遭って入院しちゃうんだよっ!!

ついつい
咲が大阪に来れなかったことを
広子のせいにするのが
最近の満の悪い癖だった。

――……はあ。
咲の作ったカレー食べたいなぁ。

満はなれない単身赴任の大阪暮らしに
完璧にホームシックにかかりそうだった。

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