びゅーてぃふる ❦ ふれぐらんす【気象系BL】
第1章 かりそめの遊艶楼
❦和也Side❦
「寂しいか? 和也」
翔様が車の運転をしながら
僕に問いかける
「寂しくないと言ったら嘘になります
苦楽を共にしてきた仲間との別れですから…」
「永遠の別れじゃないんだ
会いたくなったら
いつだって会いに来ればいいよ」
「はい…」
流れる車窓の向こうに
立ち並ぶ高層ビルと行き交う人々
まるで遊艷楼という小さな世界から
大きな宇宙に放り出されたみたい
だけど都会のビルの隙間からじゃ
空は見えなくて
「寄ってくか? 新居、」
「えっ…?」
「そこからなら
月が良く見えるよ」
巨大な地下駐車場に車を停め
ガラス張りのエレベーターに乗り込む
「わぁっ…高い…」
人が、
車が、
煌びやかな街並みがグングン遠ざかって行く
「翔様っ!
月がどんどん近づいて参りますよ!」
子供の様にはしゃぐ僕を
翔様が優しい瞳で見つめる
「一緒に見ましょうよ、ほらっ!」
「えぇー…」
「翔様…?」
「俺、高いとこ苦手なんだよな…」
「ふふっ。翔様でも苦手なものがあるのですね」
「笑ったなぁ?! お仕置きだっ!」
「わぁっ! おやめくださいー!」
脇腹を擽ろうとする翔様の手を
懸命に阻止する
「んっ…」
「和也…」
息がかかるほどの至近距離
先程までとは打って変わった、真剣な翔様の瞳
「翔様…」
「翔、だろ…?」
「翔さん…」
腰に回され、支えられた翔さんの手の温度が
高まっていくのがわかる
地上から遠く離れた
ガラス張りの空間の中で
吸い込まれるように
唇を重ねた
「ここだよ」
「わぁ…」
まるで絵本の中のお城のような
白を基調とした広いお部屋
真っ白なグランドピアノ
一面に張り巡らされた大きな窓硝子から見える、金色の月
「気に入った?」
「ええ、とても…
本当に此処に住んでも宜しいのですか…?」
「当たり前だろ?
その為に用意したんだ
楼の風呂場も丁度こんな感じだったろ?
だから、此処に決めたんだ」
「嬉しい…」
まるで夢のようです
此処での新しい生活…
翔さんとの時間…
もう、指折り数えて翔さんと逢える日を待ちわびる事もない
これからは…ずっと、一緒なのですね……
「和也」
後ろからふわりと抱きしめられて
胸がトクン、と高鳴った
「寂しいか? 和也」
翔様が車の運転をしながら
僕に問いかける
「寂しくないと言ったら嘘になります
苦楽を共にしてきた仲間との別れですから…」
「永遠の別れじゃないんだ
会いたくなったら
いつだって会いに来ればいいよ」
「はい…」
流れる車窓の向こうに
立ち並ぶ高層ビルと行き交う人々
まるで遊艷楼という小さな世界から
大きな宇宙に放り出されたみたい
だけど都会のビルの隙間からじゃ
空は見えなくて
「寄ってくか? 新居、」
「えっ…?」
「そこからなら
月が良く見えるよ」
巨大な地下駐車場に車を停め
ガラス張りのエレベーターに乗り込む
「わぁっ…高い…」
人が、
車が、
煌びやかな街並みがグングン遠ざかって行く
「翔様っ!
月がどんどん近づいて参りますよ!」
子供の様にはしゃぐ僕を
翔様が優しい瞳で見つめる
「一緒に見ましょうよ、ほらっ!」
「えぇー…」
「翔様…?」
「俺、高いとこ苦手なんだよな…」
「ふふっ。翔様でも苦手なものがあるのですね」
「笑ったなぁ?! お仕置きだっ!」
「わぁっ! おやめくださいー!」
脇腹を擽ろうとする翔様の手を
懸命に阻止する
「んっ…」
「和也…」
息がかかるほどの至近距離
先程までとは打って変わった、真剣な翔様の瞳
「翔様…」
「翔、だろ…?」
「翔さん…」
腰に回され、支えられた翔さんの手の温度が
高まっていくのがわかる
地上から遠く離れた
ガラス張りの空間の中で
吸い込まれるように
唇を重ねた
「ここだよ」
「わぁ…」
まるで絵本の中のお城のような
白を基調とした広いお部屋
真っ白なグランドピアノ
一面に張り巡らされた大きな窓硝子から見える、金色の月
「気に入った?」
「ええ、とても…
本当に此処に住んでも宜しいのですか…?」
「当たり前だろ?
その為に用意したんだ
楼の風呂場も丁度こんな感じだったろ?
だから、此処に決めたんだ」
「嬉しい…」
まるで夢のようです
此処での新しい生活…
翔さんとの時間…
もう、指折り数えて翔さんと逢える日を待ちわびる事もない
これからは…ずっと、一緒なのですね……
「和也」
後ろからふわりと抱きしめられて
胸がトクン、と高鳴った