びゅーてぃふる ❦ ふれぐらんす【気象系BL】
第2章 バーチャルな君と僕
「…あ、やばい
そろそろ晩御飯できちゃうかも…」
時計を見て
いや、でも後1回くらい見れるかなって思った時に
なんともタイミングよく、お母さんの呼び声が聞こえてきた
「あーもう……」
今日はもう見れない
ご飯食べたら本当に宿題やんなきゃだし…
「んー…また明日……そうだ!」
コメント…
消されちゃったら嫌だから
コメント残しとこう
すごい良かった、ファンになりましたって…
あなたの歌声に惹かれましたって…
「あ、ハンドルネーム…」
書き込むには確か登録しなくちゃいけなくて
その時にハンドルネームが必要なんだ
えーっと…
どうしようかな…
カズナリ…じゃ男丸出しで
気持ち悪がられるかな…
男のファンなんて…嫌がられるかな…
「…んー」
…そうだ
女の子の名前にしよう
女の子のファンならおかしくないもんね
ネットだから顔までは分からないし
バレることもない…うん、そうしよう
カズ…カズ…
あ
「カズハ…」
一瞬浮かんできた親友のまさ君
まさ君の名字は『相葉』
葉の字を借りて僕のハンネは『カズハ』となった
諸々登録に必要なことを打ち込んで…
よし、これでコメントができる
「えと…この動画をアップした人は…
『サト』」
『初めまして、サトくん
サトくんの素敵な歌声に惹かれました
ファンになりました
これからもどんどん投稿してもらえると嬉しいです
カズハ』
「これで…消されないかな…」
ホッと息を吐き出してパソコンを閉じる
…サトくん
こんなに惹かれる歌声を持つサトくんって
どんな人なんだろ……
考えながら立ち上がって
晩御飯を食べに自分の部屋を出た