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びゅーてぃふる ❦ ふれぐらんす【気象系BL】

第9章  ❦ SPECIAL THANKS ❦ Vol.2



賑やかな街並みを通り抜け
まるで宙に浮いたような道をひた走る


「凄いですね…崩れ落ちたりしないのでしょうか、」

「しない、しない。
怖かったら言えよ? スピード落とすから」


なんだかとても遠くへ来てしまっている様だけれど、一体何処へ向っているのか

遊艶楼に連れてこられた時も同じ様に長い長い道程だった
あの時は車の後部座席で、恐怖に怯えて震える手をギュッと握りしめていたけど…今は違う
行き先はわからなくても、隣りには翔さんが居る
僕の全てを委ねられる人が居る
だから何も不安なんて無かった


「そろそろだよ」


左に曲がって真っ直ぐな道を下りると


「わぁ…綺麗…」


流れる車窓から見えた、一面の花畑


「この先に林があって、その入り口には水車小屋を改装した蕎麦屋があるんだよ」

「水車、?」

「林の奥には小さな神社がある
なんか、パワースポットらしいよ?」

「ぱわー…??」

「取り敢えず行ってみよう?
戻る頃には少し早いけど昼飯だ」


僕は大きく頷いた

車を降りて手を繋ぎ、蕎麦屋を通り過ぎると林の中へと進む
足元はすっかりと舗装させているけど
先に見える大きな赤鳥居から向こうは、緩やかな土の傾斜になっているようだ


「もののけとか出てきそうだな…」

「もののけ?」

「妖怪だよ」

「妖怪っ…!」


ヒュッと息を飲むと、翔さんはクツクツと笑って
“俺が付いてるから大丈夫だよ”と
繋いだ手をギュッと握り返してくれた

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