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奇っ怪談 猥猥談

第7章 きさらぎ駅的体験

先日、きさらぎ駅的な恐怖体験をした。
まさか、そんな怪奇現象に自分が巻き込まれるとは驚きである。

ここで、きさらぎ駅を知らない人のために紹介すると・・きさらぎ駅という駅は存在しない駅なのだが、そんな駅に着いてしまった人がいる。

もう20年以上も前になるが、いつもの通勤電車で帰る時に、2~3分で着くはずの駅にいつまでたっても着かない。ないはずのトンネルも通過すると、きさらぎ駅という知らない駅に着いた。
この様子をケイタイのチャットに書き込んでいたので、反響も大きかった。

きさらぎ駅に降りてみると、次々に恐怖体験をして、駅近くのホテルまで送ってくれるという車に乗ってしまったら、車の人もこの世のものとは思えない人で、さらに恐怖を感じて、ケイタイの電池が少ない、隙を見て逃走を試みるというところでチャットは終わっている。

10年も経ってからチャットの主は生存報告をチャットするのだが、本当に同一人物かは分からない。

これに近い恐怖体験にまさか自分が遭うとは・・

あれは、飲んだ帰りのこと。
飲んだけど、酔ってはいないはずだ。

帰りの電車に乗ろうとホームの階段を昇ると、突然足下がらぬめっとして、油でもこぼれているような感じがして、滑って片膝をぶつける形でコケた。こんなことがあっても片膝だけで転びはしないから酔ってないでしょ。

スーツが破れたりしなかったか念入りに確認する。よかったスーツは無事だ。
誰だ、こんなところに油なんてと腹が立ったが、今思えば油じゃなくて、血や異空間のもので、恐怖体験はこの時に既に始まっていたのかも知れない。

電車は各駅停車で1時間以上乗る。
スマホでモノカキをしながら、後30分ぐらいの駅まで来た。30分あるからモノカキを続けてふと気がつくと電車が停車した。終着駅までは乗り降りが終わるとすぐに発車して、長時間は停まらないはずなのにおかしいなと思って外を見ると、駅名は分からなかったが、見たこともない風景だった。

それに、夏で暑くてたまらなかったはずなのに寒い、スゴく寒い。駅にいるわずかな人も、電車にいる人も何だかどんよりと暗いというか、蒼白くて生気が感じられない。

怖くなって、外に出て様子を確認したくなったが、しばらく考えていると、いつの間にか電車が動いていて、次は終着駅だという。

終着駅は下車駅の次だから1駅乗り過ごしたことになる。

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