アップルパイと君の隣で
第10章 隣に居たいなんて
「悩んでた時間は何だったのよ...」
さっきまでの時間も私が付き合わされた意味も全く分からない。
「迷ったんですけどぉ...やっぱり最初に見たこれに決めました」
「そう...」
呆れて何も言う気力が無くなった。
最初から決まってたんなら早く決めなさいよ!
たくっ...
「じゃあ買ってきますね!」
そう言うと佳奈は私の手を離し嬉しそうに布団を抱えていった。
何がそんなに佳奈の心を掴んだのか...。
機能性なら新商品と出ているこっちの方が優れているし、触り心地なら佳奈が使い慣れているこっちの方が断然良さそうだ。
デザインだって大して変わらないのに。
勘というやつだろうか?
やっぱり佳奈の考える事はさっぱり理解出来ない。
「そういえば...」
いつの間にか離れていた手を見つめる。
私の手を引いてそのまま会計に向かわなかったのは周りを気にする私への気遣いだろうか?