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アップルパイと君の隣で

第10章 隣に居たいなんて


「私が運転するからいい加減に機嫌直しなさいよ」
私はそう言うと佳奈に鍵を要求する。

機嫌が良すぎるのも困るがずっとこんな状態では息が詰まる。
だったらさっきまでの佳奈の方が気楽でいい。

「先輩」
半袖の裾を引っぱられて体制を崩しそうになる。

「何するのよ...佳奈?」
そこには嫌に真剣な顔で私を見つめる佳奈がいた。

「先輩」

「...何?」
返事をしないと聞かせても離してもくれないようだ。

「大好きです」

ドキッ
嬉しそうに穏やかな笑みを浮かべた佳奈に心臓が飛び跳ねた。
その佳奈の表情は今までに1度も見たことないものだった。
物凄く綺麗...。
っていやいや!何考えてるの私!!
佳奈が美少女だからってこれは違うでしょ。

「...っそう」

平静を装ってみるが少し変な感じになってしまったかもしれない。
佳奈が唐突にそんな事言いだすなんていつもの事だし。
やっぱり何で今このタイミングだったのかは分かんないけど。

ーそれを知りたいだなんて思ったのは気の所為よね?

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