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アップルパイと君の隣で

第11章 先輩と家族


「優しさ...なんかじゃないよ」
これは決して佳奈の考える優しさなんかじゃない。
私は酷く身勝手で、我儘で、話す度に自分が嫌いになるのに。

「...先輩は今本当に幸せですか?」

「え?」

「どうなんです?」

「...っ幸せよ」

幸せな筈だ。
素敵な彼氏がいてプロポーズされた。
このまま結婚して子供をつくって幸せな家族を持つ。
女としての幸せを手に入れる事が出来る。
私は愛されている。
幸せでない筈がない。
そう思った筈なのに...。

「即答出来なかったのが答えなんじゃないですか?」

「そんな事...」

「先輩はあの男が好きだから結婚するんですか?それとも家族が欲しいから結婚するんですか?」

「それは...どのみち同じ事よ」

「先輩は優しいから他人の幸せばかり考えている。小さなルールにとらわれて本当の幸せが見えていない」

「...」

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