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異彩ノ雫

第53章  十二ノ月 ②




アナウンスが
列車の到着を告げ
鼓動がひとつ ギアを上げる

ホームから吹き下ろす風に
かすかな足音が聞こえるようで
ポケットの中
小さな箱を握りしめた

やがて ざわめきの波は
改札を飲みこみながら
雫をひとつ はじき出す

薄紅色の頬と潤んだ瞳…

抱きしめた君の髪から
雪の匂いがこぼれ落ちる







【再会】



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