
異彩ノ雫
第127章 随想 ⑤
何故だか無性に海に行きたくなることがあります
青い空を見ていると尚更に
とはいえ、泳ぎたいわけではないのです
潮騒を心に満たしたい…
とでもいうのでしょうか
もちろん寄せて返す波の音に身をまかせ、木陰でグラス片手に海風に揺られていたい、という理想を掲げてもいますけれど
── 海の響きをなつかしむ…
と綴った、かの詩人の繊細さは残念ながら持ち合わせていないので、DNAに深く刻まれた太古の記憶が思わせるのかもしれません
陽射しと風が少し変わったようです
夏が終わろうとしている…
ほっとしつつもどこか物寂しさを感じながら…
(了)
