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異彩ノ雫

第15章  八ノ月 ②




宵闇せまる庭に降り立ち

雨上がりの風を

袂に入れて

ひとり たたずむ



葉先の雫は鼻緒を濡らし

忍び鳴く蜩の声

何ともなく胸に染み入る



ふいに覚えた焦燥と

行き暮れるあてどなさ…



藍地の奥

隠した想いに灯がともる







【ひぐらし】


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