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異彩ノ雫

第196章  四ノ月 Ⅱ ③




その店は
客船のバウを思わせる…

遥かな水平線に想いをはせて
最初の一杯を飲みほす頃
西の窓が
朱色に染まった…

束の間の静寂と
酔いにはほど遠い胸の中

やがて
ピアノの旋律がすり抜けながら
潮騒の響きを残してゆく

── 君 はやくおいで
今ならふたり
テキーラサンセットで南の海を楽しめる…

隣のスツールにそっと手を置き
グラスの氷をくらりと揺らす







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