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異彩ノ雫

第28章  九ノ月 ④




夢の中
ため息橋のシルエットが
薄闇にぼんやり浮かび
私はゴンドラを漕いでいた

微笑む月が水面に揺れる…

優しく水の跳ねる音
酒場の賑わい
水路沿いの小窓の灯り

ただひとりを乗せ
夜を縫い
ゆらゆらさ迷う小さな舟…

月明かりに映える
物憂いあなたの横顔を見つめながら
私は櫂を握っていた

いつまでも どこまでも…







【ゴンドリエーレ】


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