ただあなただけを見つめる
第1章 プロローグ
とある小さなカフェの窓際で
女性が一人、頬杖をつく。
――12月24日
今日は彼女の二十歳の誕生日だった。
外は雪が降っていて、
温かい店内の窓はくもっていた。
今年はホワイトクリスマスか…
窓の水滴を手の平で拭くと見えるイルミネーションと雪を見てそんなことを思いながら、コーヒーカップを口につけた。
「おまたせ。」
息を切らせて一人の男が彼女に駆け寄る。
「遅かったね。
待ちくたびれちゃった。」
「ごめんごめん。」
頬を膨らませる彼女にゴメンと手を合わせると「コーヒーひとつ」と店員さんに言う。
マフラーを外し、コートを脱ぐ彼を見て、彼女は「ふふっ」と笑みを浮かべた。
「何?」
「雪。頭に雪積もってる。」
彼女はそう言って、彼の頭に積もる雪を手で払った。
彼は頬を赤く染めていた。