ただあなただけを見つめる
第20章 消毒液
「また中に出したぁ…」
「だって気持ちいいんだもん。いいじゃん。どうせずっと一緒なんだし!」
暁はへへっと照れたように笑うと、私をギュッと抱きしめた。
ほんのり汗ばんだ胸板にほお擦りする。
暁の胸板はなんか安心するんだよね。
「愛してる。」
「知ってる(笑)」
「ちょ、そこは夏帆も“私も愛してる”って言うとこだろ。」
「じゃあ愛してる。」
「“じゃあ”って…
…まあいっか(笑)
夏帆ちゃんだいすき~!」
――ちゅっ!
触れるだけのキスをされる。
悪戯っ子みたいに笑う暁がかわいくて仕方ない。
“どうせずっと一緒なんだし”
当たり前のようにそう言ってくれる暁。
暁にとってはなにげない言葉かもしれないけど、
私にはこれ以上の最高な言葉が浮かばないよ…。
「…ありがと。」
「ん?なに?」
「なんでもない。ばぁか!」
恥ずかしくなった私は再び暁の胸に顔を埋めた。
暁は優しく背中を撫でていた。
私が眠りにつくまでずっと…
――――……
私は気づいてなかった。
すっかり眠りに落ちた私の頭を撫でながら
暁が静かに涙を流していたことを―――……