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ただあなただけを見つめる

第4章 過去




「援交って…」



“呆れた”とでも言いたいのか、暁はため息をついた。


呆れられてもいい。


こうしなきゃ生きていけないんだから。



「気持ち悪いおやじでも我慢してたら10万とか余裕だよ。」

「夏帆……」



そう、我慢なんて余裕だった。



「私ね…孤児だったんだ。」

「え?」


俯いていた暁はパッと顔を上げる。



私はゆっくりと過去を話し始めた。



―――――……



私は親に捨てられ、中学卒業するまで施設で暮らしていた。


施設での暮らしは決して楽しいものではなかった。



たしかにご飯は食べれるし、
ふかふかのベッドで眠れる。


…しかし中学に上がった頃、
私の人生はガラリと変わった。



施設の園長先生がいた。

50代後半くらいの男の先生。



優しくて、おもしろくて、

親がいない子供たちはみんな
園長先生に励まされていた。


私も先生が大好きだった。



でも園長先生は、私をずっと厭らしい目で見ていたの。


子供としてではなく、
“女”として見ていた。



それからはもう、毎日散々な目に……。



だからおやじとのセックスくらい我慢できるようになった。



園長先生とは今では会っていない。

「ヤラせないと食事抜き」と脅してきたから、きっぱりと縁を切ったのだ。



だったらこの容姿と身体を使って稼いでやると…。



そして一人暮らしを始めたの。




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