テキストサイズ

大切な人へ

第29章 何があったの?


放課後 上田くんは残ってくれた

『紗羅。自分で言える?』

背中に手をあてて聞くけど黙ったまま...


『上田くん...紗羅のこと好きだよね?』 「うん...」
『紗羅もね?上田くんの事大好きなの。今もずっと』

上田くんは悲しそうに俯いてる...


『浮気って言ったの嘘なの。何もないって...
香水も自分で買ったんだって...怒らないであげて?』


「...なんでそんなウソついた?」


そうだよね...
紗羅はまだ何も言わずに震えてる



『上田くんにやきもち焼いてほしかったんだよ
いっぱい上田くんから抱きしめてほしかっただけなの

紗羅のこと愛してるなら形でも表現してあげて?
不安になっちゃっただけなんだよ...』

上田くんは紗羅の方を見てる...


『紗羅?一言でもいいから謝ろう?
上田くんショックだったと思うよ?

上田くんに同じことされたら紗羅だって嫌でしょ?
...泣いちゃうでしょ?一緒だよ
好きな人悲しませちゃ...だめだよ』

自分に重なってしまって泣きそう...


「ごめん...なさい うそついて...ごめん
別れたくないよ...」

泣いている紗羅の背中は熱かった...


『上田くん...許してあげて?お願い...』


ふっと笑って頷いてくれた よかった...


ゆっくり近づいた上田くんが紗羅の頭をなでる

私はそっと後ろに下がった



「ごめんね紗羅。俺の方こそごめん」


そう言って彼は紗羅を抱きしめてくれた

よかったね...本当によかった



そっと教室を出ていく時に
上田くんがちらっとこちらを見て微笑んだ

私は軽く手をふって廊下に出ていった



ストーリーメニュー

TOPTOPへ