
大切な人へ
第60章 俺が悪いから ー井川sideー
次の試合が始まる前 周りを見てみた
でも美優らしい奴はいなかった
『渉。今日の試合もあいつに言ったのか?』
「うん。ちょっと遅れるけど来るってさ」
気になるの?ってやたら嬉しそうだ
『なんでお前が喜んでんだよ』
「俺は美優ちゃんのファンだからね~
仲直りしたいっていう美優ちゃんの味方だよ」
なんなんだよお前...
どうしたらいいんだよ
「勝てばいいんじゃないか?」
ベンチに横に来た清水先輩だ
「応援にきてくれてるんだろ?
勝てば彼女も喜ぶだろ」
先輩の視線の先には__美優がいた
『...いつもあんな格好してたんですか?』
「うん。ジャージとかが多いかな
可笑しいくらい似合わないな」
俺らが見てるのがわかったのか
壁に隠れてる...つもりらしい
先輩につられて笑ってしまう
俺がちゃんと抑えたら...
お前も笑ってくれるかな
マウンドに立って集中する
周りはみんな年上ばっかりだ
俺よりうまいやつなんていくらでもいる
でも今日だけは打たせたくない___
______
ストライークッ‼‼
勝った...
その瞬間
美優のいた方を振り返った___
でもあいつはいなかった...
