大切な人へ
第9章 伝えたい
約束よりもずっと早く着いてしまった
科学室はもう開いていていつもの席に座る
ドクン...ドクン...
泣きそうになるくらい鼓動が大きい
付き合うことはできない それは望まない
でも伝えることで何か変わるかもしれない
ずっと矛盾してるの
私の中で現実と欲求がぶつかってる...
彼を困らせるだけなのかもしれないけど
止まらなかった
カラ...
「おまたせ!おはよう」
振り向くといつもの先生だ
私も普通にあいさつが出来ていることに
少し落ち着いた気がする
私の前に座る彼がすぐ違和感に気付いた
机の上にはいつも必ず用意していた
教科書やノートが何もないから...
私は静かに深呼吸をする...
『ごめんなさい
今日本当は勉強見てほしかったんじゃないんです』
先生は黙って私を見つめていた
『先生...あのね?
私...なの...
先生が...好きっ』