
飴と鞭と甘いワナ
第4章 scene Ⅳ
結局
薬が効いて、俺が眠りに付くまで
雅紀はずっと俺を抱き抱えてくれていた。
目が覚めた時には雅紀の姿はなかった。
レトルトのお粥やら、ヨーグルトやら、色んなものが入ったコンビニの袋が置いてあって
置き手紙の代わりに、メールが1通。
『食べれそうなら食べて。いや、食べなきゃダメだよ!早く良くなってね
あ、大野さんに休む連絡はしてあるから、ゆっくり休むんだよ』
「なんだよ…」
思わず笑ってしまった。
…金もないくせに、薬は勿論食べ物まで用意して。
どれだけお人好しなんだよ。
あれだけな目にあってるのに。
そのくせ変なとこで、気にして。
雅紀がゲイだろうが、バイだろうが
そんなのどうでもいいんだよ。
ここまで来たらいい加減気付けよ。
俺が、お前をそういう意味で好きだって事に。
熱が下がったら、改めてデートに誘わなきゃね。
元々は強引に取り付けた約束だけど
今回のお礼も兼ねて
優しくしてあげるよ。
そう、優しく……ね?
