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Cream Puff

第7章 7

~櫻葉 朝の時間〜

翔ちゃんから
「好きだ」
と告白されたのはいつだったか。

もう去年の話?

「…んふふ」

そのことを思い出して、幸せに浸る。

ここ最近、俺はこんなことばかりしてる。

だって

翔ちゃんはなんだか忙しそうだし、構ってなんていい歳して言えないから。

今日も、いつも通りの朝。

俺が少しだけ早起きをして、翔ちゃんの好きな半熟の目玉焼きを作る。

我ながら、綺麗にできたと思う。

お皿はどれにしようか、なんて考え込む。

今日は…そうだな。

サラダにパプリカがあるから、控えめな色にしよう。

そう思って、グレーのお皿を手に取った。

くふふ、このお皿、まだ大切にしてくれてたんだ。

俺だってお皿には興味ない。

だけど、このお皿は翔ちゃんに似合いそうだと思って置かせてもらっている。

意外と翔ちゃんも、このお皿を気に入ってるみたいで、前に使った時から随分経っているけれど、綺麗なままだ。

「よし、できた」

今日も綺麗に盛り付けられた。

ふふ、と思わず笑みが零れた。

翔ちゃんを起こしに行こう。

パタパタとスリッパを鳴らして、そろーっと寝室に入った。

昨日は、随分疲れていたみたいですぐに寝てしまった翔ちゃん。
くふふ、まだ寝てる。


「しょーうちゃん。朝だよーご飯できてるよー」

ぽんぽんと頭を撫でて、優しく毛布を捲る。

「んー…」

ごろん、と背を向けられた。

ちょっとショック。

うん、でもいいの。

俺も布団に入って、小さく縮こまっている背中に抱きついた。

くふふ、まだ寝てる。


「しょーうちゃん?」


ぎゅー、とキツく抱き締めているつもりなんだけど、全然起きない。
相当疲れてるのかな?


ピピピ、とスヌーズになっていたアラームが鳴り始めた。

「んん、」

鬱陶しそうに手探りでアラームを止めた。

「おーきーてー」

ぐりぐりと背中に頭を擦り寄せれば、うーん、と寝惚けた声が聞こえた。


「あ、おはよう」

「おぉはよぉ、」

アイドル櫻井翔じゃない。
間抜けな顔。ふふ。
でも、こんな顔を見れるのは俺だけだもんね。

「ね、もうご飯できてるよ。早く早く」

まだ起きない翔ちゃん。

ほんと、いくつになっても子供みたいなんだから。

寝つきは赤ちゃんみたいにいいくせに。

いつも通りの朝。始まります。


end

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